再生可能な素材としての木材は、建築後何十年かしてもなを、その廃材をチップにして高温で焼成し、炭として生き返らせることも可能です。また、山で切りだした木も、間伐材も、製材時にはっせいする端材までも木炭として再び蘇生することが可能です。
 蘇生といいました。しかし、もちろん木にとっては、どのような使われ方であるにせよ、すっくと伸びた木がいっぽん切り倒されることに変わりはないのです。
 
法隆寺の木は1300年彼らは生きているのです。

 白炭や黒炭はおおむね500〜800℃の高温で焼成されます。温度は高ければ高いほどよいのですが、通常の窯で焼いてもなかな700〜800℃を越えることはむずかしく、そのため、備長炭のような燃料としてすぐれた素材を得ることは容易ではありません。この木炭の内部には、ミクロの㎡にもなるといわれています。
この広大なミクロの孔がたとえばホルムアルデヒドやアンモニアや有機化合物を吸着して分解する働きがあるわけです。

 炭の効用は昔から知られていました。「よいとまけ」の前に地盤が弱い土地を突き固める方法のひとつに地中に炭をうめるやり方がありました。地面を一尺半ほど掘ってそのなか一面に炭を敷き詰めてつき固めるのです。しけっぽい土地の改良にも施されたようです。松柆をうって地盤を固める「くい打ち」とちがい、地面の性質の改良を考えて行う方法です。

 木をやいて木炭をつくるわけですが、窯の中で高温で焼成される過程で樹液や水分は蒸発し、炭素とミネラルがのこされます。このミネラル分は必要に応じて調湿作用とともに空気中にとけだしてちょうど森林浴のような効用を発揮します。
 木炭のもつエネルギーは、それを意識するとしないとにかかわらず、私たちの生活にふかい要素を与えています。
太陽と水と緑の木。木炭は、それを建築に活用するだけでなく、「火鉢」のように暖房器具として活用することで遠赤外線のエネルギーを身体にとりこむこともできるのです。