日本の家屋は残念ながら25年から30年で取り壊されることが多く、取り壊されずに残るにしても、その建物が愛されて残るというわけではなく、ただなす術もなく無惨に残されることが多く、町の景観にも貢献することなく打ち捨てられたまま放置され、そこに住む人々の心をも寂しく打ち捨ててしまいます。
 古民家の定義はむずかしいのですが、築百年、二百年の民家を古民家と呼ぶなら、それはごくごく稀な幸福な建築物とよべるでしょう。
 私たちの「
古民家再生プロジェクト」は、ごく普通の三十年ほどの安普請の建物を、そのチープな素材を逆手にとって「古民家」のように再生、いえ、蘇生することが目的です。昭和四十年代から五十年代に建てられたごくありふれた建築物。どんなに野暮な、古くさい(文字どうり)建物でもかまいません。傾きかけたあばら家であっても、補強し、素材を厳選して、陰影のくっきりした住宅に甦らせることができるでしょう。
 家は、「ふるい」ということだけで価値があるのですから。