木の力 これも珍しいことですが、私たちが「ワザリングハイツ」と名付けるこの建物の内装は「杉材」を多用した建物です。 実を言うと、杉のこれでもかこれでもかというその素材の持つ表現力の強さを薄めるために、ここでは逆にいかにその杉の存在を消すかということに力点が置かれています。 矛盾しているかもしれませんが、杉は美しい。赤身と白太のコントラストが、無節も節ありもそれぞれに主張してその存在感を高めます。その美しさが際立ちすぎるのが難点で、いわゆる自然素材の家ですと言う作りが実はちょっぴりtoo much なのです。 素材が素材として控え目にある。生活の中で自然に溶け込む。あえて杉を多用して、杉に控えてもらえたらこれほど素晴らしいことはないだろう。 エイジングと自然素材 自然の素材を活かすためにあえてエイジングをぶつけてみるのも住まいに奥行きが生まれるものです。古いもの。古い素材。新しい素材を古びて表現する。 そのための塗装もまた、私たちには大事な表現となります。植物性の塗料を中心にアンティークオイル、蜜蝋、泥絵の具、柿渋、久米蔵。 |