構造材　ヒノキというパラレルワールド



コモハウス「旧築提案の家づくり」わたしたちの目指すもの PART1
・構造材｜ヒノキというパラレルワールド



		ケーメイサイパリスオブトゥサ Chamaecyparis obtusa（ヒノキの学術名）ヒノキで家を建てることの意味。ヒノキで家を建てるということ。そこには、まずわたしたちの姿勢を正すという大切な役割があります。

集成材で家を建てる、合板で家を建てる、２ｘ４　材で家を建てる。どれも間違っているわけではあ　りません。　ではなぜヒノキで家を建てることが他の建材とこ　れほど違うのか？そこに日本人のDNAがあるとい　うとちょっと安易な結論かもしれません。　飛騨の匠の昔から、日本人の匠の技に刷り込まれ　てきた抜き差しならないものづくりの執念の結晶　が、わたしたちをこの木材に駆り立ててしまうの　かもしれません。　　ヒノキはもちろん見た目の美しさのみならず、そ　の類まれな耐久性と狂いのない緻密さにこそ本領　があります。そのような木はとても少ないのです。　水に強いので土台にも使われます。ひのき風呂と　言われるようにお風呂の浴槽や天井にも使われま　す。まさに建築の王様の名をほしいままにするこ　の材木は大工にとって得難い材料でもあるわけで　す。　だから、わたしたちは、ヒノキで家を建てるとき、　この材料に対して畏敬の念を持ち、ヒノキに顔向　けできないような仕事は決してやらないと誰に言　われるわけでもなくおのが襟を正して仕事に打ち　込むのです。　ヒノキは言い訳ができません。　ヒノキは人を謙虚にさせます。　ヒノキは嘘を言わない。　わたしたちはけっして集成材や合板や外国の木材　を否定するわけではなく、受け入れられないと考　えているわけでもありません。　薬師寺の東塔を再建した時に使ったヒノキは台湾　のヒノキでした。昔から、人間はそこにある材料　を工夫して使いこなしてきたのです。コストの問　題だってあるでしょう。　しかし、今ならまだ日本には木材が豊富にある。　集成材が悪いわけではない。ヨーロッパのパイン　材が悪いわけでもない。ある種の国産至上主義が　偏狭な精神に根ざしてはいけないと自重してしま　うのです。
			ヒノキチオールの芳しい芳香は古くから、山里の人々の間では「ヒバの不思議」として知られ、ヒバの樹液が火傷や切り傷の薬として利用されてきました。日本書紀ではすでにスサノオノミコトが「杉と楠木は船に使え、槇（マキ）は棺桶に使え。ヒノキは宮殿を建てるに使え」とその用途を指図しています。
匕ノキはヒノキ科ヒノキ属の針葉樹です。古来、日本　では、建材として最高品質のものとされています。緻　密で狂いが少なく、耐久性に富み、光沢があって日本　人の感性にこれほど叶う建材はありません。
だからわたしたちはヒノキを選びました。　ヒノキを使うことである覚悟をつけるのです。　それほど大げさなことではないかもしれませんが、　構造材に東濃檜を使い、横架材に松を使う。すで　にある種の選択はなされている。自ずと床材も、　壁も、天井も天然の素材が求められている。建具　も台所も下駄箱も、塗装も植物性の塗料であった　り天然の顔料であったりと、そこには自分たちで　拵えるという覚悟が自ずとついているものなので　す。
玄関庇に使う化粧材　　加工された松にオスモ（植物性塗料）を塗布しますスペイン風マルケシーナ　と名づけられた玄関庇



		構造材を吟味して選ぶと当然そこにある一定のテーマが浮かび上がります。工業化住宅を否定するわけではないのですが、職人の手の感触、手触りとはよく言ったもので、住まい造りにいちばん大切なもの、それは取りも直さず、手触りというわたしたちの持つ原始的な感性に尽きるという事実なのです。



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